こんにちは、あだハンです。
今回は、安全なマスツーリング(集団でのツーリング)の走り方を解説するとともに、実際は大規模なマスツーリングはすべきではないというお話をします。
私の場合、ツーリングをするときはソロツーリングとマスツーリングの比重は半々です。
マスツーリングの規模としてはほとんどが3〜4人程度です。
安全に気を配れる数となるとこれぐらいが最適ではないかと思っているのですが、たまにツーリング先で30台以上の大規模なマスツーグループをみかけることがあります。
あれだけ大規模になると企画側の気苦労はいかほどのものかと心配でもあり感心さえします。
実際はバイクショップなどのイベントなどで、ちゃんとベテラン同士で連絡を取り合って上手くこなしていらっしゃることとは思いますが、ちょっと見ていてハラハラする感じはありますね。
結論を言うと、慣れていない人のみでのマスツーリングはとっても危険です。
では、
- マスツーリングはどう危険なのか
- もしマスツーに誘われて参加することになった場合、どのように走れば安全なのか
- マスツーを計画することになった場合にどこに気をつけたら良いのか
そのポイントについて詳しく解説していきます。
最後にマスツー必須のインカムについても触れていますので最後まで是非ご覧ください。
マスツーリングとは2人以上のグループツーリング
マスツーリングのマスとは?
マスツーリングのマスとは、マスメディアのマスと同じく「大衆」「集団」という意味です。
その対義語として一般的に使われるのが、ソロ(一人)ツーリングです。
海外ではマスツーリングという言葉はなく、Rally(ラリー)が使われるそうで、マスツーリングとは和製英語とのこと(私も今回調べてみて初めて知りました)。
一人でならソロ、二人以上ならマスツーリングといっても良いかと思いますが、二人ならデュオツーリングなんてよんでも良いかもしれませんね。
大規模のマスツーリングはすべきではない
私個人的な見解では、大規模なマスツーリングはするもんじゃないというのが結論です。
理由は単に危ないからです
ただ、全てのマスツーリングを否定するつもりはありません。
小規模のマスツーリングなら、安全に配意することは可能です。
プロがインストラクターを務めているようなツーリングクラブなら、大規模になっても適切なツーリングを行っていると思います(そう信じたいですね)。
一番危険なのは、マスツーリングになれていないライダーだけで集まったマスツーリングです。
バイク事故のニュースを見ていても、やはりソロよりもマスツーリング中だったという記事が多いと思うのは私だけでしょうか。
マスツーリングをしていると、集団心理からか気が大きくなり、他のドライバーに配意した運転が出来なくなる傾向は、初心者もベテランも変わりません。
次ではマスツーリングが他のドライバーにどんな印象を与えているか解説していきます。
バイクは一般車から嫌われている
まず第一に、私たちバイク乗りは一般車両から疎まれていることを自覚しなくてはいけません。
これは決して過度に自重しろと言いたいわけではなく、自分の身を守るために必要だということです。
もちろん私が車を運転するときには、バイク乗りの気持ちをよく知っているのでバイクに優しい運転を心がけています。
しかし、バイクに乗らない一般ドライバーからしたら、バイクは挙動が予測できない危ない乗り物にしか見えません。
さらに悪いことに、バイクであるというだけで攻撃的な運転をしかけてくるドライバーは一定数必ずいます。
そういったドライバーは、マスツーリング中の集団を見かけるとわざと集団を分断するように割り込んだり、幅寄せしたりしてきます。
これは決してレアケースではなく、多くのライダーが経験している現実です。
割り込まれた!?バイク側にも責任がある
ここまでひどいドライバーに出会うことが無かったとしても、バイクに乗らない、ましてやマスツーリングなんてしたこともないというドライバーにとっては、長い列を作って走るバイク集団に対して適切な対応なんてものはなかなかに難しい事だと思います。
よく見かけるのは、ドライバーが車線変更をしたくても、バイクの集団がなかなか切れずに車線変更が出来ない状況です。
その場合はバイクの方が積極的に車間を開けて車を入れてあげなければならないのですが、余裕が無いライダーの場合は集団が切れることを恐れて前のバイクについて行こうとしてしまいます。
車としてはそのタイミングで入らなければ次の交差点で曲がれないなどの理由から、焦って割り込もうとします。
バイク側からしたら「無理矢理に割り込まれた」と感じるかもしれませんが、バイク側の責任も大きいと言わざるを得ません。
ソロツーリングと比べてマスツーリングではこのようなかたちでの接触事故を誘発しやすいと言えます。
車がなかなか車道に出られない
マスツーリングの場合、先頭から最後尾までどれほどの距離が離れているでしょうか。
例えば時速40kmでのバイクの安全な車間距離は25mと言われています。
実際はもう少し短めに走っている事が多いので20mとしておきます。
後ほど説明しますが、千鳥走行というジグザグの隊列で走っていれば見た目の距離は10mとなります。
仮に20台で走っていれば、先頭から最後尾までは200mの距離を占めることになります。
もし、コンビニの駐車場から車道に出たい車がいた場合、そこにバイクの集団が通りかかったら200mの列が通り過ぎるのを待たなくてはいけません。
交通法規上は車の方が待つことになっていますが、実際はドライバーにとってはかなりイライラする状況では無いでしょうか。
なぜならバイク集団の場合は、おそらく殆どの場合、後続車がわざわざ車間を開けて車を入れてくれることは無いからです。
こんな事が原因で、車のドライバーがモンスター化する(バイクに嫌がらせを仕掛けてくる)ことも十分にあり得る話です。
何をするにも悪目立ちすぎる
マスツーリングで道の駅などに立ち寄った際には、バイク専用駐車スペースにバイクを停めると思いますが、多くの場合全くスペースが足りていません。
そこで近くの車用の駐車スペースにバイクを停めることが多々あります。
バイクも車両ですから、車専用スペースに停めることは何の問題も無いのですが、これを嫌がるドライバーが意外と多いのです。
私もマスツーリングの場合には、できるだけ詰めて他の駐車スペースを空けるよう努力はしますが、バイクは横から乗り降りするため、人一人分はどうしても開けざるを得ません。
自転車なら後ろから車体を動かすことは可能ですが、バイクは一度停めてしまえば車体前後から位置調整など不可能です。
下手をすれば他車を巻き込んで転倒させてしまいます。
混雑で駐車できなかったドライバーから「もっと詰めて停めろ!」とお叱りを受けることもありますが、無理なものは無理なのです。
また、走行中に信号などで切れてしまった後続集団を待つために、少し行った先の路肩で先行集団が止まって待っていることがありますが、1台や2台ならいざ知らず、10何台で待っていたりすると確かに邪魔に思えることでしょう。
大規模なマスツーリングは、何をするにしても悪目立ちしすぎます。
とは言え、複数人でのツーリングは楽しい
ここまで、マスツーリングの悪い面ばかりを解説してきました。
しかしながら、マスツーリングのメリットというのも存在します。
マスツーリングでなければ逆に危険な道もあります、林道がそうですね。
普通の舗装路と違い、事故や遭難する危険性が高いことから、ソロではかえって危険です。
複数人で助け合えるというのがマスツーリングの大きなメリットです。
それに純粋にグループで旅行するというのは楽しいものです。
ソロでは経験できない楽しみがあります。
今はインカム(通話機器)が普及していますから、走行中に会話することが可能で、一人では気づけなかった景色や面白さが、グループなら全てリアルタイムに共有できます。
泊まりのツーリングなら、同じ宿に泊まって酒を飲み交わすというのも、この上ない楽しみです。
ソロにはソロの良さがあり、マスにはマスの良さがあるのです。
安全にマスツーリングを走るためのポイント
ここまで散々危ないと解説してきたマスツーリングですが、ポイントさえ押さえておけば、ちゃんと完走して無事に帰ってくることができます。
逆にこのポイントを外していると、危険性は飛躍的に高まります。
初心者としてマスツーリングに参加する人も、ベテランとしてマスツーリングを主催する人も是非ポイントを押さえておいてください。
千鳥走行
千鳥走行とは、隊列がジグザグに配置されたフォーメーションのことをいいます。
マスツーリングではもはや常識のレベルです。
これがきちんと出来ているグループは、「あ、慣れているグループだな」と好印象を受けますね。
千鳥走行のメリットを挙げていきます。
隊列が短くできる
一車線を一列で走行するよりも、千鳥走行なら全長を半分近くまで短く出来るメリットがあります。
他車に配意できるのはもちろんのこと、信号で途切れにくくなるなどのメリットがあります。
左右の振れにも対応できる
千鳥走行ではそれぞれのバイクは併走しておらず、路面の障害物や突風などでバイクが左右に振れたとしても、併走するバイクと接触することはまずありません。
突然の失速などによる衝突事故は別です。
先頭と最後尾からの視認性が良い
距離が短くなり全体が見渡しやすくなるのと、左右に分かれているため姿が見やすくなるメリットがあります。
目視で直接存在を把握できるのは大きなメリットと言えます。
サイドミラーに後続車が映りやすいというのも要因ですね。
峠道では千鳥走行を解除
峠道では、バイクは車線上を常に左右に大きく振れながら走行することになりますから、スタントライダーでも無い限り、現実的に千鳥走行は不可能です。
峠道では千鳥走行を一時的に解除して、しっかり車間距離を開けて走行するようにしましょう。
先頭と最後尾はベテランを
マスツーリングでは、一般的に先頭をリーダーが、最後尾をサブリーダーが務めます。
- ルートの選択
- 全体の速度調整
- 危険箇所の早期察知伝達
- 休憩や停車の判断
- 全体の目視把握
- リーダーの判断アシスト
- 遅行車両のアシスト
- 後続追い上げ車両の早期発見
先頭と最後尾はマスツーリングを安全に走るために、最も重要なポジションであるといえます。
そのため、マスツーリングに慣れたベテランが務める必要があります。
ロングツーリングでは、集中力が途中で切れるため、ベテラン内で交代しながら走ることも多いですね。
常に周りの状態に気を配れる人が最適です。
最後尾は、どうしても加速や減速の度合いが最も大きくなりがちなので、運転テクニックも必須です。
初心者は経験者とセットで
所帯が大きくなればなるほど隊列が分断されやすいため、隊列の内側にも適切にベテランが分散していることが理想です。
信号の変わり目や他車の流入など、焦らずに適切に対処できるベテランが内側にもいれば安心です。
初心者は先行車について行くことに必死になって無理をしがちです。
そんなときに、すぐ近くにベテラン車がいれば気持ちの余裕が生まれます。
先頭や最後尾は内側のバイクを個別に観察することは殆ど出来ませんが、内側のベテランが初心者のマシントラブルや、ライダーの体調などにいち早く気がつくことも少なくありません。
信号等で隊列が切れた場合の対応
隊列が分断された場合は、十分に広いスペースが確保できるならば道の途中で後続車が追いつくのを待っていることも出来ますが、なかなかそんな広い場所は見つかりません。
所帯が大きい場合にはすぐには停車せず、次の道の駅などを利用して休憩も兼ねて一度止まることも考える必要があります。
リーダーである先頭車の判断が重要となります。
もし誰かが事故った時の対処
安全に気をつけていても、事故るときは事故ります。当たり前ですが。
多くの場合、後方で事故が起きた場合には先行集団はすぐには気がつかずに走行を続けます。
インカムで誰かが知らせたりしてから気がつくことが多いパターンです。
峠道などで何十台ものバイクが事故現場に集まればおそらく道路は大混乱です。
こうした場合にはリーダーの役割がなおさら重要となってきます。
- 人命救助
- 通報
- 二次被害の防止
この三点を冷静に指示できることが理想です。
必要な人員を確保し、それ以外のメンバーには一旦離れてもらうなどの指示が必要です。
いざという時のために、日頃からシミュレーションを行っておきましょう。
インカムが普及してからマスツーのハードルが下がった
インカムが普及する以前、何十年も昔のライダー達もマスツーリングを楽しんでいました。
当然まだスマホもナビも無い時代です。
話に聞く限りですが、当時はグループでハンドサインなどを決めてやりとりをしていたそうです。
なんだかカッコいいと思いますね。
ナビ役のリーダーは、ツーリング当日までに必死になって地図を暗記し、また他のメンバー達もはぐれた場合に備えて自分たちも地図を頭にたたき込んでいたとのこと。
分断された場合も焦ること無く、「あの人はこの場合、こういう考え方をするだろう」という以心伝心的な信頼感があったと言います。
若い頃にバイク狂いだったおじいちゃんが、年老いてもバイクが好きなのは、こうした青春時代を送っていたからかもしれません。
今はインカムが普及して、リアルタイムに詳細な意思疎通が可能となりました。
マスツーリングのハードルがぐっと下がったおかげで、マスツーリングを楽しむ人口も増えましたが、不慣れなライダーも比例して増えています。
インカムの失敗しない選び方については下の記事もぜひチェックしてみてください。
まとめ:マスツーリングをするなら周りに配慮が必要
大規模なマスツーリングは危険という解説をしてきました。
- そもそもバイクは一般車から疎まれている
- マスツーリングの長い車列が他の車の進路を妨げる
こういった理由から、トラブルを引き寄せやすいからです。
しかしながらマスツーリングにも良さがあり、それを楽しみたいと考える人は大勢います。
大切なのは、マスツーリングにどんな危険性があり、どうしたら対策が打てるのかを知っておくことです。
そこで重要になるのが、マスツーリングを主催するベテランの存在です。
少なくとも先頭と最後尾にはベテランを配置し、隊列を交通事情に合わせて適切に指示誘導が出来れば安全にマスツーリングを楽しむことが出来ます。
これが出来ていないと、マスツーリングはただの暴走集団と化してしまいます。
参加メンバー全員が楽しく安全にマスツーリングを楽しむためには、参加者への気配りだけでなく、他の一般車への配慮も欠かせません。
それぞれの立場から、周りのことも考えられるライダーになりたいものですね。